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2020-10-05

【掲載情報】正木ゆう子『現代秀句 新・増補版』(春秋社)・坪内稔典『俳句いまむかし』(毎日新聞出版)

俳句のアンソロジー2冊に、私の作品も1句ずつ入れていただきました。

◎正木ゆう子『現代秀句 新・増補版』(春秋社)
2002年に初版、2012年に増補版、そしてこのたび新・増補版が刊行された、必携ともいえる一冊。人口に膾炙している句・していない句問わず作家の目で選ばれた作品はその並び自体が作品であるし、一句ごとへのみずみずしく丁寧な鑑賞に、「ああ、私の憧れの正木ゆう子さんだ…!!」となります。俳句初心者でどの本を買おうか迷っているという方がいらっしゃいましたら、一冊目として非常にオススメですし、すでに俳句が楽しい!という方も、この本でさらなる深みへ入っていけると思います。

山を巻く一筋縄の涼しさよ  橋閒石

橋閒石は今や知る人ぞ知る俳人、かもしれませんが、この本には5句も収録されており、そういう偏りも嬉しいです。桂信子〈野に蜜のあふれて村のひるねどき〉、飯島晴子〈恋ともちがふ紅葉の岸をともにして〉、正木浩一〈某日や風が廻せる扇風機〉などなど、挙げ出したらキリがないですね。

今回の新・増補で私の作品にも身に余る文章をいただき、感無量です。

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◎坪内稔典『俳句いまむかし』(毎日新聞出版)
坪内さんの毎日新聞連載「季語刻々」の書籍化。今の俳人と昔の俳人の、同じ季語で書かれた一句ずつにそれぞれ短い鑑賞文がついていて、読みやすい一冊です。

妻抱かな春昼の砂利踏みて帰る  中村草田男

この句の鑑賞が「鼻息荒く、」で始まって、「荒い鼻息が好き。」で終わってることに爆笑しました。
わりと軽めの統一感がある収録句、今の俳人の作品の中では加藤かな文〈リポビタンDの空壜夏の花〉、小川軽舟〈名山に正面ありぬ干蒲団〉、桑原三郎〈家中の枕を干して金魚に餌〉あたりが好き。私の句の季語は「感冒」です。

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