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2016-04-08

【発売情報】『大人になるまでに読みたい 15歳の短歌・俳句・川柳 ③なやみと力』(ゆまに書房)

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3巻、ついに完結しました!
3巻は「なやみと力」。なかはられいこさん編、巻頭言は長嶋有さんです。
短歌は
あなたは勝つものとおもつてゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ  土岐善麿
川柳は
五十歳でしたつづいて天気予報    杉野草兵
俳句は
車はカー馬鹿は馬鹿なり恋は春    長嶋有
などが収録されています。
ご購入は→こちら
『大人になるまでに読みたい 15歳の短歌・俳句・川柳』は、短歌60首・俳句60句・川柳30句がランダム(編者の思うまま)に配列された3巻。私は俳句60句×3巻分を担当したわけですが、実は本当に世話になった人たちがいます。
堀下翔さん、青木ともじさんです。2人とも学生で俳句を書いている人です。
私は図書館が嫌い、書物を手に取るのが苦手な上、記憶力もすこぶる悪く、選句できるほどの名句のストックが、頭の中にもパソコンの中にも家の本棚にもありませんでした。それでも、この仕事を引き受けることができたのは、若い友人二人の協力があったからです。やり方としては、私がすでに知っていて入れたい作品を表にしておいて、足りない時代や絶対入れたほうがいい作家をリストアップし、二人に作家ごとに分担してもらい、何度かに渡って提案してもらいました。その中から、私がいいと思うものを選んだのです。案外好みがあわず突き返したり(ともじごめん)、知らない作家のすごい作品に驚きながら採用したりしました(二人には相応のお礼をしました)。
人の助けを借りず一人でやるべきだ、という意見も当然あると思います。でも、私の能力と〆切を考えると、それは無理でした。というか、〆切を考えると、私が断ったら誰がやるんだ、という仕事でした(笑)。本来ならば本のどこかに協力者として名前を入れたかったところですが、ただでさえ黒瀬さん・なかはらさんとの共編著なのでそれは遠慮して、ここでお礼を述べる次第です。
私は俳句現場で、苦手なことがとても多いです。季語も覚えていないし、主要な本も読んでおらず、もちろん難しい漢字も読めないし、だからといって草木や鳥に詳しいわけでもなく、芸術全般にも疎く、文章を書くのも苦手で、何を話すにも無知をさらけ出すようで、つらかったし、今でもつらいです。一度は人前に出ることができないばかりか、句会にすら行けなくなり、すべての友達に馬鹿にされているように感じて、泣いてばかりいました。でも、その頃の私に言ってあげたい。こんなに有能な友達が、私の苦手なところを補ってくれる日が来ることを。
今、私は、苦手なことはどんどん人にお願いしようと思っています。その方が俳句にとって有益です。堀下くん・青木くん以外にも、いろんなところで手を貸してくれているみんなに、この場を借りてお礼を。いつもありがとうございます。
もうひとつ、この『15歳の短歌・俳句・川柳』では、一作品ごとに200字程度の解説がついています。これを書くのも大変でした。私は俳句の鑑賞文を書くのさえ苦手だったのです。作品によっては誤解をしていて著作権者の方に直していただいたりしましたし、本が出た今も、正直もっとうまく書けたらどんなにいいだろう(黒瀬さん、なかはらさんの文章の面白いことと言ったら!)、と思うので、なかなか読むことができないでいます。
でも、私にもちょっとは得意なことがあります。作品を感じることです。うまく文章にはならなくても、「うわっ!!」と思う力は、たぶん普通の人より強いと思うのです。そのとき、作品が勝手に品詞分解されるというか、いい部分がココ!と迫ってきます。言葉の作用が見えるんです。それをがんばって書いたつもりです。なので、句によっては、私にしか書けない解説になっていると思います。
苦手なことを友達の力を借りてひとつずつ解決したりクリアしていくというのは、それこそ青春時代、15歳ごろにやるべきことですね。私にとって、この『15歳の短歌・俳句・川柳』をつくった時間は青春でした。15歳の人たちと並走する気分で、これからもちょっとずつがんばっていきたいです。

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